私を引き付ける納屋にあった古い雛人形の怪
ある日祖母の家に遊びに行った時の事です。
ちょうど雛祭りの時期でした。私は日向ぼっこをしながら祖母と世間話をしていました。その時妹が「久しぶりに納屋を探検しない?」と声を掛けてきました。
祖母の家には住んでいる家の他に二階建ての建物があり、一階部分は壁を取り払って車庫にしてあるのですが二階部分は納屋になっていました。昔はそこでよく宝物がないか探していたのです。私は懐かしい気持ちと当時のわくわくした気持ちを思い出し、妹と一緒に納屋に入る事にしました。
いざ入ってみたら埃だらけでしたが昔と変わらず古い物が所狭しと置いてありました。しばらく眺めていましたがふと、気になる物を見つけました。「こんな物あったっけ?」それは二体の雛人形でした。デフォルメされた造形でとても可愛らしかったのを覚えています。
それを見つけた瞬間、「持ち帰りたい。」強い衝動に駆られました。「しかし訳ありの物だったらどうしようどうしよう…。」そう悩んでいる間に妹は納屋から出て行ってしまいました。私は慌てて妹のあとをついて行って出ました。
しかしまだあの人形が気になります。この後自分でも信じられないのですが、持ち帰るか持ち帰らないか悩んで何度も納屋と外を往復しました。あんなに人形に固執したのは初めてでした。「もしかしたら呼ばれているのでは?」と思いましたが悩んで悩んだ末、結局持ち帰る事にしました。
祖母に渡し客間に飾ってもらう事にしました。
それから後日また祖母の家に行きましたが祖母から「どっか行っちゃった」と言われました。どうやら知らないうちに無くなっていたらしいです。あの人形は何だったのか、どうしてあの納屋にあったのか、そしてどこに行ったのか未だに謎のままです。
(長野県 女性)
まるで魂が入ってしまったかのように勝手に動く雛人形
私の持っていたお雛様の話です。そのお雛様は元々遠い親戚にあたる人のモノだったのですが、私が小さい時に何故か譲られしょうがなく貰ったものでした。
私には元々ひいおばあちゃんが私が生まれてすぐに私用に作ってくれたお雛様があったので、お雛様が2つあるという状況でした。小さい内は2つあるのが苦にはならなかったのですが、大きくなると何故2つもあるのか?と疑問とともに面倒くささが出てきてしまい飾らない年がありました。
その年に母からお雛様を飾らなかった事を叱られてしまったので、面倒臭いと思いつつ次の年からは飾るようになったのですが、その年からそのお雛様が動き始めました。
最初は家の母がお雛様の向きがおかしいと言いながら直していたんです。その時の私は母が几帳面すぎるのだと思って相手にしてませんでした。だけど次の日の朝私が起きて何気なくお雛様を見るとまた向きが変わっていたんです。お雛様は私の部屋に置いてあって、母が直した後私の部屋には私しか居なかったし、私は出すのすら面倒なワケで当然触ったりしないのにです。
その後も毎年向きが変わる事がありましたが特にそれ以上の事も無かったのでそのまま飾り続けました。今は私の結婚と同時に気味悪がってた母が、人形供養に出したのでひいおばあちゃんのお雛様だけ飾らしてもらってます。
(北海道 女性)
会話をする女雛 心霊話
まだ、わたしが5才頃に経験した雛人形にまつわる話を紹介します。
わたしは当時両親が離婚しており、母方の祖父母宅に住んでいました。祖父母にとってはじめての女孫だったこともあり雛人形は7段あるガラスケースに入っている、値段の高いものを毎年ひな祭りに飾られていました。
今は雛人形がすごく好きというわけではないのですが、5才のわたしはなぜが雛人形をえらく気に入っており飾られるとご飯やトイレ、お風呂以外は寝るまで雛人形の近くまでわざわざおもちゃを持って行っておもちゃで遊んでは雛人形を眺めてニコニコしていたそうです。
1日中眺めていた記憶はないのですが、唯一覚えているのは雛人形と話していたこと。特に女雛と話していました。
最初は普通に一人二役で小さな時にやる人形遊びの延長のようにしていたのですが、気がつけば自分とは別の声が返事していることに気付きました。
声の主はその女雛。何故かわたしの名前や母や祖父母の名前を知っており、赤ちゃんの時に別れたはずの父親のことも知っていました。
当時の私は父親の存在を知らず、祖父母も母も父親のことは口に出すことはなかったので私は誰の話をしているのかわからず、雛人形から実の父のことを聞くことになりました。このことは畑仕事から帰ってきた祖母に伝え、気味悪がられたことはなんとなく覚えています。
ひな祭りを終えて次の日、日中は祖母と過ごしていたのですが、近所のおばさんがきて畑でとれた野菜をわけにいくだかで家に一人になった時間がありました。さみしくて雛人形の飾ってある部屋へ行くとまた女雛が話しかけてきます。
女雛がここから出してほしいと言ってたのでガラスケースの上に登りガラスケースを壊そうとしていたのですが中々割れず、そのままガラスケースの上に座り女雛とどうしようかと話していると祖母が帰ってきました。
祖母がわたしを探して雛人形の部屋のドアを開けた途端ガラスケースが真っ二つに割れ、とても驚きました。
祖母は慌ててましたが、私は怪我一つすることなくそして雛人形たちも飾りも何もかも無事でした。翌年から壊れたガラスケースは使用されず、雛人形のみが飾られています。そこからは雛人形と話すということはなかったのですがそこからわたしはおもちゃより人形遊びにはまり、大人になった現在も人形だらけの自室になっています。
(北海道 女性)
飾らないと顔の表情が変化する雛人形の怪
私が小学生の頃の話なのですが、実家で毎年ひな祭りの日のためにお雛様を飾ってもらっていました。割と立派な雛人形で優しそうな顔のお雛様を見るのが子供ながらに好きだった記憶があります。
毎年必ず3月3日の為に雛人形を飾っていたのですが祖父が亡くなったり色々と忙しい年が重なり3年ほどお雛様を飾らずに倉庫にしまいっぱなしだった時がありました。
ようやく落ち着いた年に、雛人形を倉庫から出したのですが初めはなんとなく感じた違和感だけでした。何となくお雛様の顔が違うような…そんな違和感を感じながらも久しぶりだし気のせいかなくらいでした。
実家の猫は、雛人形の飾りでイタズラするのが毎年の困った恒例なのですが何故かその年は猫が近づかなかったのも違和感を深める要因でした。
雛人形を出した次の日、朝起きて見てみると雛人形全員の顔が明らかにきつく険しい表情になっていました。母に急いで報告したものの、気のせいとたしなめられそのまま学校に行きました。
学校に行くと、朝の雛人形の顔なんてどうでもよくなりすっかり雛人形のことを忘れて学校から帰ってきました。そしてふとみた雛人形に絶句をしました。朝よりもきつくなり明らかにつり上がった目、それにお雛様の口からあるはずのない歯が生えていました。さらに、髪の毛は綺麗にゆわれているはずなのに5センチほど伸びていて誰がみても明らかに変というのがわかりました。でも不思議と怖い気持ちよりも悲しい気持ちの方が勝っていて自分でも何が何かわからずお雛様の前で号泣しました。
それを見つけた祖母が、お雛様が怒ってたんだね。出してあげられなかったことを謝ってやろうね。と促してくれて、素直にそれに従った私でした。次の日の朝、雛人形を見てみるといつもの綺麗な雛人形でした。それから毎年必ず雛人形を飾ることにしています。
(徳島県 女性)