免許を取りたての頃で、私の住む地域からは少し離れた山間部に住む友人宅からの帰り道の話になります。
友人宅で遅くまで話し込んでいたため、時間は既に深夜0時を過ぎていました。
当時はあまり行かなかった地域のため、行きも帰りもカーナビに従って運転してきました。
帰りも同じ道で山の中を通り国道を走っていたのですが、突然、国道から分岐した道に入るよう指示されました。方向音痴でナビ頼りな私は、きっと近道なんだろうな、と疑う事もなく、左折して入って行きました。
そこの分岐した道は街灯もまばらで、交通量が全くなく、民家すらないという不気味な道でした。
なんか嫌だなと思いつつ、恐る恐る進んで行くと、どんどんと暗い道へと誘導していきます。15分くらい走って、やっぱりおかしいと思っていると、とある場所を目の前に慌ててブレーキを踏みました。
その時目の前に見えたのが、明かりもない真っ暗な細いトンネルです。また向こう側も全く見えないくらい長いトンネルに見えました。
夏だったのですが、少し寒気に近い空気を感じ、またなぜか絶対に入ってはいけないという勘のような感じになり、引き返すことにしました。
難なく国道に出ることができたのですが、再びナビが右折を指示してきました。
方向音痴な私は再びナビに従うことにして右折していきました。
30分くらい走った所にさっきも見たような光景が現れ、再びブレーキを踏みます。
そこにはさっきとそっくりな真っ暗なトンネルの入口がありました。もちろん気味が悪いので引き返すことに。
何度も気味の悪いトンネルへと導くナビの無機質な声に恐怖さえ感じ、アナウンスを切り、とりあえずさっきの国道に出ると、1台の車が走って行きました。
藁にもすがる思いでその車を追いかけて、ようやく大きな国道に戻り、自分の住む街が見えてきた時の安堵感は今でも覚えています。
翌日、ポータブルナビが全然使えないと思った私はナビを外すことにしました。
ついでに昨日の迷った経路が気になり見てみると、2回目に迷った時のトンネルは最初に突き当たって迷ったトンネルの出口だったのです。
もちろんナビはもう使うことはありませんし、あの不気味なトンネルは何だったのか。
今でもあの山間部を通ると思い出します。
(女性)