これは3年前、兵庫県に釣りに行ったときの話です。
日が暮れて船で10分ほど走った沖にある堤防に渡してもらい釣りをはじめました。
1時間程経ったとき、急に天気が崩れ始めて大雨になりました。
天気予報では雨の予報は出ていなかったので雨具は持っていません。
雷も酷く、竿に落ちては危険と判断して道具を片づけました。
雨がしのげる場所を探しては見たのですがここは沖の堤防です。
雨をしのげる場所などありません。
唯一の障害物は高く積まれたテトラポッドのみです。
少しでも雨をしのげるように陰に隠れて天気が回復するのを待ちました。
段々と風も強くなりはじめ嵐のようになってきました。
夏だと言うのにどんどんと気温も下がり寒さで震えました。
2時間程経って天気が回復してきました。
釣りをしていた場所に戻ると飲料水を入れていた発泡スチロールの箱が有りません。
おそらく風で飛ばされたんでしょう。
この時は雨に濡れた寒さで飲料が無くなった事に対して不安感も無く釣りを続行しました。
翌日、日が昇っていつもの暑い夏日が始まりました。
沖の堤防は日を遮るものがありません。
10時を過ぎたときには暑さで意識がもうろうとし始めました。
こんなに暑いのに汗も出ません。
脱水症状になりかけていると思いました。
携帯電話で船を呼ぼうと思いましたが昨日の雨で水没したのか電源が入りません。
帰るの船が迎えに来るまでまだ2時間あります。
他に客が居れば船が来るのですがいつ来るか判らない船を待つのは危険すぎます。
このままでは死んでしまうかもしれない。
目の前には小さく漁港が見えています。あそこまで泳いでいけば飲み物が買える。
2時間待つのは危険と判断して泳いで船乗り場のある漁港を目指すことに。
運が良い事に満ち潮で沖から陸に向かって潮が流れています。
しかし途中で体力が尽きたら足がつかない深場ですから溺れてしまいます。
浮き輪の代わりになるものが無いか探したところ魚を冷やすクーラーボックスが目に入りました。
私はクーラーボックスにしがみ付き漁港を目指して泳ぎ始めました。
20分以上泳いだと思います。無事に漁港にたどり着き飲み物を購入できました。
飲んだ瞬間、体中に水分が行きわたるのが判ります。
一気に汗も出てきました。
その後、渡船屋に行って状況を話、沖の堤防に荷物を取りに行って無事帰宅できました。
あの日以来、夜釣りの時は必ず雨具を持ち、飲料も多めに持ち込むようにしています。
(静岡県 男性)