ぬいぐるみへの執着心が招いた魂
小学校1年生の誕生日の時に某有名デパートに行きました。そこのぬいぐるみ売り場に同じクマのぬいぐるみがタワーのようにいくつも並べられていた、その光景だけは今でも鮮明に覚えています。
同じクマのぬいぐるみがずらりと丸く円を描くようにタワーのように積み上げられている中で、ただ一つが明るく見えたのです。それを手に取り、「これを買って欲しい」とねだったのも覚えています。
そこからが不思議というか、変な体験だったのですが、私はクマを「マック」と名付けて、すごく大切にし始めたのです。
男兄弟と育ったこともあり、ぬいぐるみよりもゲームが好きだったのに、寝るときは必ずお気に入りのタオルを「マック」にかけて定位置に置かないと不安でした。いまだに覚えているのが、その当時はやっていた「プラバン」でマックの絵を描いてネックレスを作ったこと、その「マック」について作文に書いたこと。母親が「ちょっと変」と言ってきたのも覚えていますが、何かに取り憑かれていたのか、「マック」に対する思い入れがすごく、危ない感じになっていました。それが、ある日を境にピタリとやんだのです。
気味が悪い表現しか出来ないのですが、「マック」が「マック」でなくなったのを感じました。ただのぬいぐるみになったのです。上手く表現出来ませんが、絶対に「マック」の中には何かが宿っているか、入っているかしていたのに、満足したのか、飽きたのか、それも分かりませんが、すっと抜けたのが分かり、私も「マック」に執着することがなくなりました。
(大阪府 女性)
帰ったきたぬいぐるみ達の怪
私は幼い頃からぬいぐるみが大好きで、たくさん集めていました。自分の部屋のいたるところに並べて、10年以上一緒に生きてきました。しかし、ぬいぐるみが増えすぎて置き場所がなくなったことと、やっぱり10年以上一緒にいる子たちは汚れもかなりひどく、洗濯をしてみたり、破れたところは縫ったり、ボンドを使ったりしてなんとか保っていたのですが、限界がきたなと思う子もいました。なので、とても辛かったのですが、その子たちとお別れをする決心をして1人ずつちゃんとお礼を伝えて、捨てました。捨てたはずでした。
その夜、眠りについた私は夢を見ました。そのお別れしたぬいぐるみたちの夢です。
夢の内容はそのぬいぐるみたちと出会った時のことでした。どこで、誰に買ってもらったのか、その子たちと話した時のことなど、私も忘れていたようなことばかりで本当に驚きました。そして、目が覚めて、自分の部屋からリビングに行こうと廊下に出ると玄関に捨てたはずのぬいぐるみたちを入れた袋がありました。
家族に、袋を持って帰ってきたのかと聞くと、誰もそんなことはしていないと言っていました。本当に不思議で不思議で仕方がなかったです。でも、怖さはまったく感じませんでした。大切な家族なので。だから、やっぱりお別れをしようと考えた私が間違っていたのだと思います。そして、せっかく戻ってきてくれたので今はまた私の部屋で一緒に暮らしています。
(女性)
最後に渡したプレゼント 心霊体験
高校の頃の話です。修学旅行は当時できたばかりのディズニーランドに行きました。
私は当時付き合ってた彼女のお土産にドナルドダッグのぬいぐるみを買って帰りました。3000円位だったと記憶してます。彼女はすごく喜んでくれました。
それからしばらくすると彼女は体調を崩し、検査の日々が続きました。私たちの小さな病院ではなく新幹線で仙台の病院に数回検査に行きました。「微熱が続いてとにかくダルイの」彼女はそう私に病状を教えてくれました。
そして彼女は仙台の病院に入院することになりました。病名は「急性白血病」でした。
一度見舞いに行ったのですが、無菌室に入院していた為彼女に会うことはできませんでしたが、私が来ることをお母さんが伝えてくれていて、彼女から伝言を受け。お母さんから「あなたがS君ね。いつもMがお世話になっていてありがとね。これMがあなたからもらって大事にしてたものだけど元気になるまで預かってて、とMから」そう言ってドナルドのぬいぐるみを私に渡してくれました。
「いつもすごい可愛がってて一緒に寝てたんだけど病院ではダメなのよ」そう言ってお母さんは目を潤ませました。私は状況を察し「そんなに悪いんですか?」そう尋ねるとお母さんは泣き出し何も語ってくれませんでした。それが答えでした。「まさか彼女が」と愕然としてドナルドと帰宅しました。
その二日後、就寝中何かの夢をみました。覚えてないのですが何かがぼくにのしかかってくるような夢でした。慌てて飛び起きると、枕元に置いてたドナルドが僕の顔に倒れてきてたのです。「なんだドナルドか、ビックリした」と冷静になってドナルドをまた元の場所に戻そうとした時、異変に気付きました。ドナルドの感触が何か違うのです。
怖くなって電気をつけて確認すると、ドナルドのお腹がカッターか何かで切られたようで中の綿がスカスカになってたのです。寝る前は変わらなかったのにお腹がペタンこになってて、しかも中綿が見当たらないのです。とにかく怖かったです。
そのまま眠れず朝を迎えたのですが、朝電話がなりました。嫌な予感がしてあわてて出ると彼女のお母さんでした。「S君、朝からごめんね。今朝Mが息を引き取ったの。最後まであなたに会いたがってたわ。今までありがとね」嫌な予感は当たりました。そして彼女が亡くなったのは、私にドナルドが襲い掛かってきた時間でした。
(宮城県 男性)