8年前に飼っていたペットの話です。
ずっと犬を飼いたかった我が家にマルチーズの赤ちゃんがやってきました。
白くて小さくてふわふわで本当に可愛い子でした。
名前はリリーと名付けました。
どうしても私に懐かせたくて色々犬を懐かせる方法などを調べましたが、リリーが懐いたのは父でした。
特に犬が大好きだったわけでもない父はなんでこんなに俺に来るんだ?と不思議そうでした。
父が歩けば必ず後を追いかけ、寝ればお腹の上や腕枕をして自分も寝たり、テレビを見ていれば膝の上に寝たりと常に行動を共にしていました。
父もそんなリリーに愛情を持って面倒を見るようになりました。おそらく娘である私よりも可愛かったと思います。
父の溺愛っぷりは近所でも有名だったので。父の後を追いかけ常に爪の音がチャカチャカ家中に響いていました。
そんな常に共に行動をしていたリリーも老いてくると目は見えなくなり、やせ細り寝ている時間が長くなりました。
それでも父が仕事から帰ってくると、ハッハッと息を切らし尻尾を弱く振り父の元へ行こうとしていました。
目が見えないので壁やテーブルにぶつかりながらも匂いでどこにいるかなんとなく感じ取っていたんだと思います。
父はリリーを膝に乗せながら、辛いか?可哀想に。
でもお前がいなくなっちゃたらどうすればいいんだよと話しかけていました。
それから数日後家族全員に見守られながら息を引き取りました。
14年も生きました。
小型犬でこのくらいの年数を生きるのはかなりの長生きだと思います。
父はしばらくの間元気がなくパソコンに入っているリリーの写真を毎日見ていました。
泣いているところを見た時は私もとても辛い気持ちになりました。
亡くなってから2ヶ月頃経った時、テレビを見る私の視界に白いものが横切りその方向を見ると父が新聞を読んでいました。
そして数分後は小さな音でしたがチャカチャカチャカチャカと聞き慣れた懐かしい音がしたんです。
それは父にも聞こえていました。
リリーか?と父が声をかけましたがそれからは何も感じませんでしたし、聞こえませんでした。
私が見た白いものはおそらくリリーが父の元へ歩いていたんだと思います。
最初で最後の出来事だったので天国に行く前に会いに来たんだと思っています。
8年経った今でも父はリリーのお墓に毎年好きだったおやつを備えていますが、その時はなんとなく近くにいるように感じると話していました。
(青森県 女性)