深夜の霊安室
今から数年前にICU(集中治療室)で看護師として勤務していた時の話です。
ある夜勤の日、深夜1時頃に患者さんが亡くなられました。エンゼルケアを済まして、あとは焼香の準備をしなくてはいけないため、地下1階にある霊安室に行き準備する必要がありました。しかし、時間は深夜2時を過ぎており、さすがに地下の暗い廊下を歩き、1人で霊安室に行くのは怖いため、後輩に付いてきてもらいました。
そして二人で地下に着き、真っ暗く長い廊下を進み、霊安室の電気を点けて急いで準備を開始しました。ここの病院自体は新しく、霊安室も新しいのですが、以前から霊安室の電気を消しても一部が消えないという不思議な体験をした職員が何人かおり、私もそれを聞いて意識していたので、早くその場を離れようと急いでいました。
焼香などの準備がおわり、PHSでリーダーに連絡し、ICUに戻ることにしました。
その病院には、地下に行くためのメインエレベーターと、ごみ収集用の産業用の裏口エレベーターがあり、帰る際は裏口のエレベーターの方がICUの病棟に近いため、そっちに乗って戻ろうという事になりました。
そして霊安室を出て50mくらい廊下を歩いたところで起こってしまったのです。突然、背後にある霊安室の方から「うふふふふふ…」という若い女性の笑い声が廊下に響き渡りました。
誰もいないのは明白なので、背筋がゾッとして、後輩と後ろを振り向いても何もいません。
後輩に「今、後ろから女性の笑い声聞こえたよね?」と聞くと、後輩も「聞こえましたよね」とのこと…。二人で急いでエレベーターに向かい、上ボタンを連打し、急いで上の階へ戻りました。一体あの女性の笑い声はなんだったのか今もわかりません。
(新潟県 女性)