何者かが住む病室
小児科で働いていた時の話です。よく、子供は純粋なので幽霊が見えやすいという話を聞きますが、おそらくそれは本当ではないかと思います。
夜勤をしていると、まだ2・3歳の子供たちが一斉に泣いて起きたことがことがありました。その子たちは共通して、左斜め上方向を指さしているのです。子供たちの中には、その方向を見て笑っている子もいました。
私が子供が指さす方向を見ても、もちろん何も見えるはずもないのですが、子供たちはみな同じ方向を見て泣くか笑うかをしていたので、本当にぞっとする体験でした。
また、後日同じ部屋に入院した幼稚園くらいの年頃の子も夜中になると同じ方向の天を仰ぎながら大泣きして起きてくことがありました。
その子は何が起こったのか自分で説明できる年頃だったので、詳しく説明を聞いてみると「おばあちゃんがこっちをみている」というのです。
もちろん私たち看護師には見えません。
その後も「おばあちゃんが迫ってくる」といって夜中に泣く子どもがその病室では続出していたので、おそらく本当におばあちゃんが住み着いていたのではないかと思います。
それ以外にも、なぜかその部屋だけ電気がついたり消えたりを繰り返したり、空床の時にナースコールが鳴るといたか怪奇現象も起きたりしていたので、本当にぞっとする体験でした。
できるだけ夜勤で持ちたくない部屋でした。
(兵庫県 女性)
遊びたがる子どもの霊
私は以前総合病院のNICUに勤めていました。
夜勤の際に仮眠する場所は昼間はごはんを食べるために使用される休憩室です。この休憩室は赤ちゃんの泣き声やアラームの音等がひっきりなしに聞こえてきますが、慣れると寝られます。
そこでうとうとしていると、NICUにいるような新生児ではなく幼稚園や小学生の年代の子供の泣き声が聞こえてきました。
PICUも隣にあるので初めは気にしていませんでしたが、よくよく考えてみると泣き声が聞こえるほど壁は薄くないしNICUや休憩室にまで聞こえるほど近くもありません。
それでも私は霊感もなければ察しも悪いので大して気にせずに過ごしてきました。しかし、しばらく経った夜勤中、スクラブの裾を引っ張られる感覚がありました。
職場に黙って裾を引っ張るような人はいませんし、引っ張ることができるほど大きい子は出入りできません。
どこかに引っ掛けたのか気のせいだろうと仕事をしていましたが、その後も何度も引っ張られる感覚があるのです。
段々とその感覚が強く、間隔も短くなりました。そこでも私は「自分は疲れているのだな」くらいにしか気に留めていませんでした。
日勤中はそんな感覚も子供の泣き声もなかったように思うし、夜勤中は人手も少なく暗くて静かなので些細なことでも気になるだけだと思ったからです。そして、またしばらく経った夜勤の日に鈍感な私でも「気のせいではない」と考えを改めることが起きました。
いつものようにスクラブの裾を引っ張られていると、突然耳元で「遊ぼう!いつも遊ぼうって言ってるのに!」と子供の声が聞こえたのです。
先述した通りNICUに子供は出入りできませんし、小児科やPICUも声が聞こえるほど近くではありません。
ようやく「今までのことは全て心霊体験だったのだ」と気が付きました。
後日、先輩にこれらのことを尋ねてみると、今あるNICUの場所は改築前は小児科やPICUであり、あの休憩室は無菌室として使用されていた一部だったそうです。
残念な話ですが、助かった子もいれば助からなかった子もいます。
当時の私は新人だったので、年の近いお姉ちゃんとその子たちが遊んでほしくて来ているのではないかと言われました。
私自身はこの体験を怖いとは全く思いませんが、病院には亡くなった患者様がたくさんいるので誰もが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
(宮城県 女性)
子どもにしか視えないもの
小児科病棟で看護師として勤務していた時の体験談です。
小児病棟には、様々な症状の子供たちの患者が入院しており、軽症ですぐに退院する子供もいれば、この病棟で生涯を終える子まで様々です。もちろん私が勤めている病棟で亡くなった子どもも少なくはありません。そして夜勤ではほとんどの子供たちは寝静まります。また母親や家が恋しくなり眠れなかったり、翌日の検査に不安を覚え泣いている子どももいます。そんな子供たちに寄り添うことも小児病棟の看護師の重要な仕事です。
ある日、夜勤で病室を巡回していると、ある病室の子供たちが泣いていました。1人が寂しくて泣いて、つられて泣いているのかと思ったら、1人の子供が一目散に私の元へ駆け出してきました。点滴が付いていて動けない子供も私の方に一生懸命体を寄せて泣いています。
私が「どうしたの?」と聞くと、一斉に子供たちが部屋の隅を指さし、しきりに「こわい、こわい」と繰り返すのです。
部屋を明るくしても何もありません。結局子供たちが落ち着くまで側にいました。もしかしたら、子供しかわからない霊の存在を感じていたのかもしれません。
(新潟県 女性)