私がこの体験をしたのは8年くらい前のことです。まだ夏になりきらない、少し肌寒い春のことでした。
当時山梨県に住んでいた私は、親戚が近くに引っ越してくるということで手伝いに駆り出されていました。その親戚の引っ越し先は、前の家族が借金を抱え、家を売りに出した家です。
あまりいい話がない家だったので、念のために親戚は引っ越す前にお祓いをした、と言っていました。といいますのも前の家族が抱えていたのは借金だけではなく、DV問題や家族のうつ病の問題が発生していたからでした。
家を建て、越してくる前は順風満帆な家庭だったのにもかかわらずです。そのため、原因を家に求めたのでしょう。そしてお祓いを済ませた家に入った私が感じたのは、不気味さ、気持ち悪さでした。また重々しくジメジメとした陰気くささも感じました。
私の母型の家系は代々霊感というものがあるらしく、他の人には見えないものが見える、ということも日常茶飯事でした。しかし今まで感じたことのないその雰囲気に圧倒されたのを覚えています。また、おそらくこの後に記すことは事実に思えないことも多いでしょう。しかし全て事実であり、実際にこの身に降りかかった事だということを理解していただけるとうれしく思います。
家の中に入ると頭の中にあるビジョンが浮かんできます。回転棚に写真があるかのように、ぐるぐると頭を回るのです。
井戸と、女性、暗い場所。はっとしました。
井戸が塞がれてしまっているイメージが浮かんだからです。
古い考えだと思われるかもしれませんが水回りを塞ぐことはよくないことだと考えています。その代表格は井戸です。井戸には塞いだとしてもパイプなどで空気を通すべきなのです。
しかし塞がれてしまっている。
おそらく、この家のクローゼットの下付近に埋まっています。しかしそれがわかったところで伝える相手もいませんでしたし、大人しく引っ越しを手伝って家に帰りました。
問題はその後だったのです。
家に帰ってから暗いところが妙に怖くなり。人が怖い、憎い、という感情が現れるようになりました。
推測ですが、私はその女に取り憑かれた状態でした。
またふと過ごしていると突然、頭の中に女の顔が見えてきます。唇に濃い赤の紅を塗った背の低い人でした。
その後は簡単な除霊と家のお祓いによって事なきを得ましたが、今でもあの女の顔は鮮明に思い出します。
(埼玉県 女性)