恐怖の瞬間に起こった
今から30年以上も前の学生時代、熊本県のとあるアパートに一人住まいしていた頃の話です。そのアパートは学校のすぐ近くにあって、どうやら、霊の通り道になっていたようで、しばしば、夜中に物音がしたりするなど、不思議な現象が起きていました。そんなある夜のことでした。
深夜2時くらいだったでしょうか。急な空気の変化を感じて突如目を覚ましたのですが、そうしたら、不意に足元の壁…、そこにはポスターを貼っていましたが、そのポスターから白い人影が飛び出してきて、私に襲い掛かったのです。まるで、ポスターの中の人物が飛び出してきたみたいでした。
白っぽい影ながら、頭や手足があったのをうっすらと覚えています。
そして、すぐさま押さえつけられたような金縛りに遭いました。
先にお話したように、金縛りにはしばしば遭ってはいたんですが、そのときの金縛りは、それまでに経験したことのないくらいに強烈に締め付けられて、もちろん声もだすことはできず(ただ、「うーうー」と、かすかに呻くのが精いっぱいでした)、とにかく痛いくらい身体が言うことを聞きませんでした。
感覚的に10分くらいもがき続けたと思いますが、一向に弱まる気配はありません。
それでも必死にもがいているうちに、急に隣の部屋から、「ハハハ」という明るい笑い声がしました。そしたら、突然、金縛りが解けて、身体が自由になったのです。
うろ覚えですが、私を押さえつけていた白っぽい影は、まるで宙に吸い込まれていったようでした。不思議な感覚の余韻を残しながらも、とりあえず、隣にお住いの方に、心の中で深く感謝し、また眠りについたのでした。
(福岡県 男性)
霊を投げるという珍事体験
結論から申しますと、幽霊を背負い投げしました。かつてから事故物件だと言われている部屋に住んでいるのですが、ある夜突然、今まで感じたことのないような金縛りに遭いました。金縛りというより、うつ伏せで寝ているところを押さえつけられているような感じでした。お経もよく分かりません。
すぐに祝詞を考えられるほど頭も良くありません。なので、寝ぼけていたせいもあるとは思うのですが、なぜか「投げるしかない」と判断しました。
霊(と思われるもの)は掴むこともできましたし、重さも感じました。うつ伏せ寝の姿勢から仰向けになる遠心力を利用して、思いっきりぶん投げたところ、はっきりと白い人の形をした影が見えたんです。
「え?」と思っていた次の瞬間、床に叩きつけられた音でしょうか、ドスン!という衝撃とともに男の声で「うっ!」と呻き声が聞こえました。あまりにも現実離れした状況にしばらく呆然としていたのですが、ハッと「何が起きていたのかこの目で確かめなければ!」と思い部屋の照明をつけたところ、当たり前といえば当たり前かもしれませんが、なんの痕跡もありませんでした。しかし、確実に掴んだ感触と重み、白い人影と衝撃音と呻き声ははっきりと覚えています。一体何だったのかは分かりませんが、こんな体験をしたことがあります。
(東京都 男性)