怪談話
大学生の時、部活の合宿で1週間、長野県に行きました。1年生は先輩の部屋に布団を敷きに行かなければならないという伝統があり、恐る恐る先輩の部屋に行くと、部屋の電気が消え、懐中電灯の明かりを中心に先輩数名が車座になっていました。
何をしているんだろうと思ったら、怪談話をしていました。「ちょうど良いところに来たな、お前も聞いていけ」と車座の端に座らされました。
どうやら順番に怪談話をしているようで、どこかで聞いた事のあるような話ばかりで、退屈していたところ、普段大人しくて口数の少ない2年生の先輩が「僕の実家は群馬の山奥で、庭に謎の祠があるんです」と物静かに語り出しました。今まで聞いた事のないパターンの話で、また先輩の話し方も上手くグイグイ引き込まれて行きました。
クライマックと思える、お祖母さんが呪文を唱えたというところでバタンという音がしました。
どうしたのかと思い、上級生が部屋の電気をつけると、さっきまで話をしていた先輩が倒れていました。「そこまで演技しなくていいよ、起きろよ」と上級生が声を掛けましたが、反応がありません。
よく見ると蝋人形のような顔色になっていました。「大丈夫か?」と上級生が頬を叩いたりしましたが、起きる気配が無く、布団を敷いて寝かすことにしました。
布団に移そうと先輩の足を保とうとすると、先輩の脹脛に手で強く握ったかのような、紫色の手形の痣がありました。よく見ると両足に、何箇所も痣があり、あたかも下から何人かが引き摺り下ろそうとしたようにも見えました。
結局、翌朝まで先輩は目を覚ます事がなく、目を覚ました先輩に話を聞くと、途中から全く記憶が無いと事でした。そして、誰かに足を掴まれる夢を見たと言っていました。先輩のリアルな怪談が、何かを呼んでしまったのかもしれません。
(神奈川県 男性)
迫りくる気配
広島県のとある遊園地近くの合宿所で一部屋6人で合宿して泊まったときのこと。当日は体を動かす研修をしていたために私も他の皆さんもくたくたの様子。夜10時頃消灯だったので、次の日のことを考えて早めに寝ることになりました。
皆さん5分くらいで寝つき、普段どこでも寝れる自信のある自分はなぜか目が冴えて全然眠れない。一時間ほど携帯をいじったりして時間をつぶしていましたが、段々とトイレに行きたくなってきました。
トイレは部屋にはなく、ひとつの階に一ヶ所だけ、電気の消えた廊下を非常灯頼りに歩いていかなければなりません。もともと怖がりなのでもうこれは我慢して寝てしまおう!と思っていると、外からピィーーー!っという甲高い笛のような音と器械が擦れるようなキィキィという音が聞こえて来ました。
なんだか気味が悪いのですが近くの遊園地の何かしらの音がしているのかと気にしないようにしていたら、だんだんとその音が大きく耳にまとわりつくような感じになってきました。
まわりの皆さんを起こそうとしましたが、誰も起きません。
すると廊下をペタペタとゆっくり歩く音が。だんだんと部屋に近づいてきて非常灯に照らされた影がドアの下の隙間から見えて。ついに自分の部屋の前のところで止まりました。
ドアノブがガチャッと言いましたが怖くて目をつぶりそのまま布団にもぐって過ごしました。だんだんと近づいてくる音と耳のなかから頭を突き抜けていくような感覚、気配、とっても怖かったです。
(広島県 女性)
深夜に買い出し
私が心霊体験をしたのは数年前の大学のサークルの合宿の時です。当時私は3年生でした。オールラウンドサークルに所属しており、夏休みを使って静岡県のロッジでバーベキューなどを楽しみました。
初日は何も起きることはなくバーベキューや花火を思いっきり楽しみました。心霊体験をしたのは翌日の夜のことです。
私の同期の男が煙草が切れたから買いに行きたいというので、アルコールを飲んでいなかった私も同伴で行くことになりました。ロッジがあったのは山の中腹部だったので、そこから車で30分ほど山道を下った先のコンビニまで行かなくてはなりません。
同期が運転をして、私は助手席に座り出発。幸い夏の晴れた夜でしたので見通しは良かったのですが、真っ暗な山道ということもあり薄気味悪さは感じていました。そして10分程進んだ時です。
道路の緊急避難用のスペースに白いものが見えました。辺りは真っ暗だったので、ちらっと視界に入っただけなのですが白いものが何かありました。そしてそれを同期に確認すると、人がいたというのです。
女の人が白い服を着て踊っていたと言っていました。
流石にそんなことはあり得ないだろう、私を驚かすために冗談を言っていると思っていましたが、彼はそれからコンビニに着くまですっかり怯えてしまいました。そして問題は帰り道です。
言わずもがな、先ほどの白い女が気になってしまいます。すっかり怯えた同期は帰りは私に運転を任せました。私は山道を運転するのが嫌だったのですが、さすがに何もしないのもと思い、引き受けました。
そして例の緊急避難地帯。そこには確かに白い布がありました。しかし女ではなく木の枝に布が引っかかっているだけだったのです。それを同期が勘違いしただけだと思い通り過ぎました。
そしてもう一度バックミラーで確認した時でした。真っ暗なはずなのに白い女がこっちを見ているのがはっきり見えました。そしてそれに気を取られて、カーブを見落としてしまったのです。その時幸い同期が前を見ていたので事故にはなりませんでした。
もちろんその後確認した時には何もありません。あれは一体何だったのでしょうか。
(東京都 女性)