変更してもらった怖い部屋
今から10年以上前の話になりますが、当寺バスガイドをしていた私は修学旅行の仕事で、栃木県の有名観光地に宿泊することになりました。
お客様はホテルに宿泊でしたが、私たちバスの乗務員はホテルから程近い民宿に宿泊することになりました。民宿はとても古いかんじで、お世辞にも綺麗とは言えないところでした。宿泊した乗務員はドライバー2名、バスガイドは私と先輩の2名の計4人でした。
部屋に案内され、荷物をおろし、着替えていると部屋をノックされました。出ると民宿の方で、「部屋を移ってほしい」と言われました。
不思議に思いながらも再び荷物を持ち、違うフロアの部屋に通されたので部屋に入ろうとすると、先輩がドライバーさんに部屋を交換してほしいとお願いしていました。ドライバーさんは快く交換してくれました。部屋に入り、少し落ち着いたところで先輩が以前ここに泊まったときに体験した奇妙な話を聞きました。
その奇妙なことが起きたのが、先ほど案内された部屋だったとのことでした。なので部屋を変えてもらったんだと知り、納得しました。部屋は二人で泊まるには広い部屋で、洗面台の向かいには木で打ちつけられた不気味な扉があり、なんだか気持ち悪かったです。
夜、眠っていると重さを感じて目が覚めました。寝相の悪い先輩がのしかかっているのはと思ったのですが、ふと隣を見るときちんと横で眠っています。
私は金縛りにあっていたのです。金縛りにあったのは初めてのことだったので、どうしていいのか分からず、パニックになりました。暗闇で目を開けているのが怖かったので目をとじると、いつの間にか眠っていたようで、気がつくと朝になっていました。
きっとあの民宿には何かあるんだと確信してしまいました。
それからはそこを利用する機会も無かったので、今でもあるのかは分かりませんが、なんとなく出そうな雰囲気のその宿には二度と宿泊したくないと思いました。
(埼玉県 女性)
私が行うルーティーンをしなかった時の恐怖体験
今から15年くらい前、バスガイドの仕事で静岡県の有名な温泉街へ行った時の話です。業界ではよくある話なのですが、お客さんはホテルに宿泊し、乗務員は近くの別の宿の泊まる、業界用語で「流し」と呼ばれるシステムがあります。
その日もバスの掃除を終えた私とドライバーは民宿から迎えにきたワンボックスカーに乗り、ホテルから5分くらいの宿へ向かいました。その時は辺りはもう薄暗くなっていました。宿の外観は古かったのですが、中は清潔感があり普通の民宿という感じです。
そして部屋へ入るのですが、私には必ずやるルーティーンがあります。まず最初に窓を開けて外をチェック、次にベットの下、押入れの中、飾ってある絵の額縁の裏などお札が無いかチェックこれをして、始めて落ち着くという感じす。しかしその日は夕食の時間が迫っていたので、行いませんでした。直ぐに食事会場へ。そしていつもならお風呂にはいるのですが、その日は疲れていたので、そのまま寝てしまいました。
何時間経ったのかわかりませんが、クーラーの羽根が動くカタカタカタという音が、やけにはっきり聞こえてきて目覚めました。部屋の電気は点けっぱなしです。そして何時か時計を確認しようと思ったら、体が全く動きません。あれ?と思って瞬間です。
身体をガシッと抑え込まれるような感覚があり、心臓がキュッとなったのです。怖くて目が開けられません。パニックになっているところに左耳に息遣いを感じて失神しそうになりました。
私は意識が無くなった方が楽なのにと思いつつも、逆に意識がハッキリとしており、相変わらずエアコンの耳障りな音がしているのがわかりました。
そして耳元で「おのれ…おのれ…」という声が聞こえてきて、地の底から響くような男の声でした。そして硬直して動かない身体は、何者かの力でベッドの頭部分にあった腰窓の方に引っ張られてはじめ、私は必死にお経を心の中で唱えました。その後は気付いたら朝になっていたのです。
翌朝窓を開けて外を見てみると、そこは古い墓地が並んでいました。
(神奈川県 女性)