異次元・異世界の不思議な話

☆【不思議な話・実話】 秋吉台鍾乳洞にある異次元の狭間 体験談

あれは今から30年ほど前の話で、私が小学校に入った最初の夏に起こった出来事です。

 

夏休みに、家族全員で神戸から山口県と九州各地を回る旅行に行った時で、1年生だった私と、まだ幼稚園に通っていた妹、そして両親と祖父母の6人で出かけました。

 

最初に到着した場所は鍾乳洞で有名な秋吉台。とても大きな洞窟の中を進み、ライトで照らし出された、つららのような鍾乳石を眺めていました。そこでは家族で少しばらけながら歩いていたのですが、私の前を歩いていたのは祖父でした。

 

ところが、前を歩いている祖父が岩陰に隠れてしまい、数歩遅れて私が続いて岩陰に行くと、そこには誰もいませんでした。

 

そこは隠れるような場所はないのに、忽然と姿が見えなくなってしまった祖父。私は不思議には思いましたが、きっと先の方へ行ってしまったのだろうと思い、後から来た両親や祖母と合流して洞窟の出口に出たのです。しかしそこには祖父の姿は見当たりませんでした。まだ携帯電話もない時代でしたし、祖父が行方不明という事態にみんな騒ぎ始めました。父が祖父がいなくなった辺りを見に行ったりもしましたが、全く発見できず。

 

その時、私は見てしまいました。最初に祖父がいなくなった岩陰から、にじみ出るように現れた祖父の姿を。

 

何もないはずの空間から突然現れたんです。その瞬間、家族は別の方向を向いていたようで、目撃したのは私一人でした。祖父を見つけた途端に、父は祖父を問い詰めましたが、祖父はどこにも行っていないと言い、父と喧嘩に。

 

どうやら祖父は、姿を消した1時間ほどの記憶はなく、鍾乳洞をただ歩いていただけとしか思っていない感じでした。子供だった私も、この事態が理解できずに混乱していましたが、今思えば、祖父はいわゆる「神隠し」と呼ばれる現象に遭遇したように思えてなりません。祖父はもう亡くなってしまいましたが、あの時の事は今考えても不思議ですし、自分があのような状況になった場合、どのような感覚になってしまうのか。など考えてしまいます。

 

(大阪府 男性)

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