某温泉地の旅館での出来事。何年か前に山梨県で法事があり、家族と親戚で某温泉地の旅館に泊まったときの事です。
その温泉旅館は、老舗の立派な旅館で 家族、親戚を併せて10数名居たので私達は離れの3部屋に宿泊しました。
部屋には五右衛門風呂や中庭もあり風情のある良い部屋でした。
故人の話をしたり、懐かしい写真を一通り見て夜の11時過ぎには皆で眠りにつきました。ただ、私は元来旅館や日本的な部屋が苦手で少し怖いから中々眠れずにいました。それでも無理矢理目を閉じて、一時間以上が経った頃でしょうか。私達の部屋の上から子供達の走り回るバタバタという音やきゃはははははという笑い声が聞こえてきました。
私は上に泊まっている客の子供達が興奮して眠れないのかな、親御さんも大変だ~と思いながら目を瞑り続けていました。
また そこから少しして、今度は離れの私達の部屋の廊下をバタバタと走り回り、きゃはははははと笑う声が聞こえてきて、なんで子供がこちらの離れまで来て騒ぐんだろうと不思議に思いながらも煩いなぁ…親御さんは何も言わないのかな?迷惑だなぁと少しイライラしながら入り口の襖の方をチラッと見たりしていました。
もちろん音は廊下でしているので見える訳がないのですが。そのうち、今度は内庭からザーザーという水が上から落ちるような、小さな滝でもあるような音が聞こえてきて あ、庭には滝があるんだな~とボンヤリ庭の方を見ていると 更に廊下では、笑い声と走り回る音が続いていて流石に今何時だよ?と、携帯で確認すると夜中の3時を過ぎていたのです。
私は時間を見た途端、あの子供達は生きている子供ではないのでは?という考えが過り、急に物凄い恐怖が襲ってきて布団を被り、耳を塞いで朝が来るのを待っていることにしました。
明け方6時位になり、早起きな叔母が動いている気配で早速 起き上がり、昨日の事を話しました。すると、私の妹も起き上がり 『私も聞こえた…ここさ、2階はないし この旅館子供泊まってないんだよね』と、それを聞いて私は青ざめやっぱり生きている子供達では無かったんだと改めて恐怖が込み上げてきました。
私は恐怖にひきつりながらも、そういう事もあるんだね~なんて言いながら部屋のカーテンを開けて庭の滝も煩かったね~夜中は止めて欲しいねと言いながら庭に目をやると、そこには滝など無くこじんまりとした日本庭園があるだけでした。
(神奈川県 女性)