今から15年前、専門学校を卒業した後、牛の世話をしたくて、北海道で酪農家のお家で住み込みで働く事を決めました。3月に卒業して4月に北海道に向かい、早速行ったその日から仕事が始まりました。さすが酪農だけあって行ってすぐの仕事と初めて顔を合わす大家族との生活は最初は戸惑いましたが、これも修行だと思い自分の選んだ仕事をきっちりやろうと思いました。
北海道へ来てから1週間、初めてのお休みをいただいて、一緒に北海道へ来た友達も隣の牧場で働いていたので、スノーモービルで遊ぶ事になりました。慣れない生活の中で初めての休日はとても解放的でとても楽しみにしていました。
友達と2人乗りでスノーモービルに乗りまだ雪の残る4月の牧草地を駆け巡りました。
友達が運転、アタシは後ろに乗って風を切って走るスノーモービルは最高でした。しかし途中から友達の様子がおかしくなりました。
スノーモービルはどんどん加速して、今までにないスピードで滑っています。
友達にどうしたのか訊ねると、ブレーキが効かないと焦っています。
まさかとは思いましたが、次の瞬間には記憶が無く、記憶が戻ったのは牧草地の中を流れる小さな川の中でした。
アタシは慌てて起き上がり、友達の様子を見ました。どうも友達は動く事が出来ないようでアタシは自分が何ともなかったので、歩いて助けを求めに行きました。
履いていた靴が川に落ちた時に無くなってしまったので裸足で雪の中の牧草地を歩きました。
途中視界が赤く感じ何か分からなかったので気にしないでいたのです。やっと近くにいた人に助けを求めて車の窓に映った自分の顔を見たら額がパックリと切れていました。視界が赤くなったのは自分の額から流れる血でした。
その傷を見た途端に額が激しく疼きだし、とても立ってはいられなかったです。
とりあえず助けを呼べるのは自分しか居ないという責任とアドレナリンの放出でさっきまで何も感じていなかったのに、安堵したとたん激しい痛みにおののきました。
その後友達も救出されアタシも病院に連れて行かれました。
北海道へ行って1週間した経ってないに死ぬ思いをした経験でした。今でもアタシの額には勲章の様にキズ跡が刻まれています。
(埼玉県 女性)