昔、岡山の大学に通っていたころ、とある高速道路を降りてすぐのところにあるコンビニでバイトをしていました。
ちょっとお金が必要だったので、二か月ほど割のいい深夜にシフトを入れてもらっていました。
コンビニ近くの高速道路の降り口は何故か心霊スポットになっていて、夜には若い人達、中には多分同じ大学の学生らしき人もよくそこに行ってました。
そして行き帰りに私の勤めているコンビニに寄っていくので、夜でもそれなりに盛況でした。
ある夜もう一人のバイトと二人でコンビニにいた時、いつものように4、5人の若者達がやってきました。
心霊スポットに行った帰りらしく「結局何もでなかった」と言いながらビールやおつまみを買っていきました。
彼らが出て行ってから同僚と「あの心霊スポットって何か謂れでもあるの?」「知らない」とか言い合っていると、勢いよくコンビニの中に人が入ってきました。
なんだ強盗かと思いカラーボールの位置を確認していたら、入ってきたのは先程の若者達。
血相変えてこちらに近寄ってくる彼らに、レジの下でカラーボールを掴みながら、「忘れものですか?」と問うバイト二人。すると若者の一人が「く、車の中に、誰かいる」と言いました。
自分達の仲間は全員車から降りたはずなのに、戻ってみたら誰かが乗っている、と。にわかには信じがたく、そもそも自分達が車の様子を見に行った瞬間に盗みを働く可能性も捨てきれなかったので、とりあえず車に不審者が乗っているということで警察に連絡を。
そして警察くるまでの間に私が車の様子を見ることに。若者達の車は黒の乗用車で、中を覗き込んでみても誰もいませんでした。
気のせいじゃない?とか思いながら、ぐるっと車の周りを回ってみると、車の後ろ側に泥がびっしりとついていました。しかも手形の。
うわあ、と思ってコンビニの中に戻りそのことを若者と同僚に報告すると、若者は震え上がり、同僚はカラーボールをいじりながら「人をはねちゃったのかもしれない」と真顔で言いました。
一つだけならともかく、はねられた人があんな大量の手形を残すか?と思いつつも同僚の言った可能性も捨てきれず、その後やってきた警察に事情を説明しましたが、後日確認してもその日事故はなかったとのこと。
じゃああの泥の手形を付けたのは誰なのか、若者達の渾身の演技だったのか。今でも謎です。
(女性)