数年前に東京都内のとある場所で実際に起こった出来事です。私は使わなくなった企業の大型社員寮を改修してシェアハウスとして運営する管理会社に勤務していて、この物件はオープンに向けて毎日のように内装等の細かい打ち合わせ等が早朝から入っていた為、工事期間中から住み始めました。
居室は工事が終わっていなかったので管理人事務所での寝泊まりです。暗~い建物に後輩と2人きりです。それだけで既に恐怖でした。
おかしなことが起こり始めたのは2日目からです。早朝に業者のリーダーが『ちょっと〇〇さん、見てください、この建物ヤバいっすよ』と見せてきたデジカメには至る所にオーブが写っていました。特に巨大なラウンジ部分に集中して写っていて、彼曰く『歩きながら電話で話している時にラウンジに入った瞬間に電話の電源が落ちたんです。2回も』。
ラウンジには大判の窓ガラスがいくつもあり電波が届かないなんてありえないんです。
さらに管理人室の近くにゲストルームという小部屋があるんですが、そこが畳敷きの和室で薄暗く、入った瞬間に何とも嫌な感じがしました。入り口や押し入れの中、窓際に消臭剤が沢山置いてあったので片付けようと良く見たら、中身は全て清めの塩でした。
この時点で既に怖さはマックスです。が、もちろんまだ終わりません。
建物は8階建てで低層階(2~4階)用・高層階(5~8階)用とエレベーターは二つに分かれています。高層階用のエレベーターは気が付くと何故かいつも6階で止まっているんです。まだ誰も住んでいないのに。
エレベーター会社に来てもらって点検してもらっても6階で止まる仕組みにはなっていない、との事でした。夜に外から建物を見上げると何故か必ず6階の部屋の明かりが付いているんです。まだ誰も住んでいないのに。
ある時に後輩と2人でエレベーターに乗って8回ボタンを押したら、6階で止まりました。そして黒っぽい影がフッと遠ざかり、一室のドアがバタンと閉まる音がしました。
工事は低層階にしか入っていないし、誰も住んでいないので泥棒かも、と2人でひと部屋ずつ確認しましたが誰も居ません。怖くなって2人でエレベーターに戻り、ボタンを押したらボタン周りがじっとりと濡れていました。
悲鳴を上げながら2人で階段を駆け下りて逃げました。やがて工事も終わり、満室になってからは現象はピタリとなくなりました。あれは一体何だったのだろうか?
(男性)