『2回目ですよね?』もう十年以上前の話です。夢の中で私はその当時よく買い物に行ったデパートにいました。特に何を買おうとしていたのかは思い出せないのですが、2階に行こうと考えてデパートの中央にある大きな階段を昇りました。
平行したエスカレーターがあったのですが、階段の方が運動になると思っていた気がします。階段を昇っている途中、ふとポケットからお気に入りのハンカチが落ちてしまいました。
何段か下の方に落ちたので、拾おうと振り返ると親切なおじさんがわざわざ階段を登ってハンカチを拾ってくれました。「落ちましたよ」と差し出されたハンカチを受け取り「すみません、わざわざありがとうございます」とお礼を言って、階段を降りていくおじさんの背中を見送りました。
また2階へ行こうとして、目が覚めました。
その後特にその夢を覚えていなかったのですが、数日後にそのデパートに買い物に行き2階に行こうとしてふと既視感を覚えました。
なんだっけなあ、と考えながら、運動不足を解消すべく階段で2階へ向かう途中、ハンカチが数段下に落ちました。
あ、と慌てて拾おうとして、夢の中で拾ってくれたおじさんがいる事に気付きました。
どっかで見たことあるなあ、ぐらいの感覚でしたが。夢の中と同じように階段をわざわざ上がって来てハンカチを拾ってくれたおじさんが「落ちましたよ」と手渡してくれ「すみません、わざわざありがとうございます」とお礼を言うと、おじさんは階段を降りて行き…ふと振り向いて「…あれ?2回目ですよね」と首を傾げました。
そこで夢の中の事を思い出し「あ、そうですよね!2回もすみません」と笑いながら返し、おじさんの背中を見送りながら「でもあれ、夢だったような…あれ?予知夢?でもじゃあなんでおじさんが?」とぐるぐる考えました。
おじさんと会ったのはそれきりですが、今でもずっと忘れられない記憶として残っています。
(東京都 女性)