お盆の海で起こった足を引っ張る霊
知人から聞いた話です。社会人であった知人は、お盆休みに仲間7人で海へ遊びに行きました。大量に買い込んだ飲食物を持ち、浜辺にレジャーシートを敷き、飲んだり食べたりしながら、時折海の浅瀬で遊んだりして楽しんでいました。
その時、仲間の1人が、「うぁっ!」と悲鳴を上げました。
見ると、浅瀬にいたはずの仲間は波にさらわれようとしています。
全員で協力し助け出すと、波にさらわれそうになった仲間が「誰かに足を引っ張られた」と言い、真っ青になっています。
しかし、辺りには人がいません。
皆は気のせいだろうと言いましたが、その足に目をやると、しっかりと数本の指のあとらしきものが残っていました。
言葉を失い、青ざめた仲間達は、怖いと言いながらも、海女のような人がいてイタズラをしたのではないかなどと笑い飛ばし、せっかく来たのだから楽しもうと帰らずに遊び続けました。
夕方になり薄暗くなった頃、そろそろ帰ろうとレジャーシートをたたみかけたその時、「ふふふふ」という笑い声が聞こえました。
その笑い声は全員に聞こえました。
それでもまた、仲間の誰かが腹話術もどきのことをして驚かせて喜んでいるのだろうという話になりました。
帰り際に、最後の海を目に焼き付けておこうと全員で海を見ていたら、海の水面の上を歩いて行く大人の男性を見ました。
両足ははっきりと見えて、歩く速さは早かったそうです。
その人が歩いて行った先にはお寺があったそうです。
その日はお盆の最後の日で、霊があの世に帰る日でした。
お寺の住職さんに話したら、1年前にその海で溺れて亡くなった男子学生がいたそうです。
(女性)
海底へ引っ張る手
お盆や休みを利用して三重県のとある海水浴に行った時の体験談になります。
世に言う、お盆の海は足を引っ張られるという噂がありますが、私はあまりそのような噂を信じてはいませんでした。また家族で海水浴を楽しんでいたので安心しきっており沖の方まで泳いでいました。ちなみに浮き輪は付けています。
ふと周囲を見ると人が少なくなっていたので、そろそろ岸へ戻ろうとしたその時、足元の海水の温度が急に変わった事に気付きました。
足元だけが氷のように冷たく感じ、流れも速くなりました。その瞬間身の危険を感じ、急いで泳ごうとしたのですが、下から足首を手でがっしりと掴まれてしまったのです。掴まれた手の感触もしっかりと覚えています。
目で足元を確認しようとしましたが、海の青緑色が濃く見えませんでした。
足をバタバタさせて振り払おうとしましたが、下に引っ張る力が強いため自分では動かすことは出来ません。
私は脇をしっかりと浮き輪に絡ませてしがみつく事で海に沈むことは免れました。
恐怖のあまり声を上げて、親に助けを求めると、掴んでいた手がふっと離れていくのがわかりました。
そして急いで岸まで泳いで親に訴えるも、だから言っただろう。お母さんも引っ張られる事があるんだよ、気を付けなさいという落ち着いた返答でした。
(大阪府 女性)