兵庫県 河童伝説が残る街
私が5歳ぐらいのころに体験した話です。夏休みに祖母の家に帰省していました。祖母の家は徳島県の田舎町で、海と山と川に囲まれたのどかな町でした。
祖母の家のすぐそばには川の下流から海へと合流する地帯があり、漁港や船がたくさん並んでいる波止場のような場所の隣にあった為、いつも兄やいとこ達とその波止場で遊んでいました。
祖母には危ないから夕方はあまり近づかない方がいいと言われていたのですが、子供たちにはそんな言葉は耳に入りません。少し危ないくらいの方が楽しかったのです。そして、帰省中の夕方にまたいつものように波止場で遊んでいました。すると「そろそろ帰ってきなさい」と母の呼ぶ声が聞こえたので、みんなで家に帰ろうとした時、何かの視線を背中に感じたのです。
私のすぐ後ろは海だったので、魚かな?と思い振り返ると水面から緑色の物体が目をだけだしてこちらを凝視していたのです。
怖くなった私は猛ダッシュで祖母の家へと走りました。
次の日祖母に昨日見た緑色の生物の話しました。すると祖母は「あの辺には川から間違えて下ってきた河童がたまに出るよ。」と。その日からその漁港で遊ぶのをやめました。
(兵庫県 女性)
宮城県の河童
5年ほど前、私の母の実家はとても山奥で、大雨が降るとよく川が濁流になりました。曾祖母の何回忌かで訪れたその時も、大雨ではありませんでしたが、雨が続いていたので川の水は濁り、水嵩も多くなっておりました。唯一の救いは一日通して曇り空だったことでしょう。
全ての工程が終わり、暇を持て余した私は、こっそりと曾祖母の家を出ました。すぐ目の前が川だったので、その川の荒れ具合でも見てやろうと思ったのです。すると、川上からたまに葉っぱや枝が流されていました。「ああ、少し地盤でもゆるくなってたのかな?それとも、風が強かったっておばちゃん達が言ってし、そのせいで枝が折れたのかな?」と思いながら見ていると、おかしなものがありました。
灰色がかった緑の何かが、流れに逆らうように動いていました。目の錯覚かと思い、じいっと見つめますが、やはり川の流れとは逆に動きます。(もしかして人が溺れている?誰か呼んだ方がいい?でも、ただのゴミがそう見えるだけだったらただ迷惑をかけるだけだし……)色々と悩みながら、足元にあった小さな石をその謎の物体に向かって投げてみました。もしもあたれば、角度が変わって何か見えるかもしれないし、人なら何か気付いて助けを求めてくるかもしれないと思ったからです。
見事にぶつかり、それは一瞬沈み、手のような何かが見えました。(やっぱり人?!)と一瞬驚きましたが、その腕は服ではなく生の腕のようなのに、浮かんでいた部分と同じ灰色がかった緑だったのです。
更に、手が異様に大きく、指の股らしきところに膜のような何かが見えました。(もしかして、今のはカッパ……?)と見ていると、その河童らしきモノは、川の下流へと流れていきました。
河童の川流れというのは本当にあるのだと知ると同時に、誰に話しても作り話としてしか受け取ってもらえないので、ここに吐露させていただきます。
(宮城県 女性)